他の士業に比べ、弁護士事務所の広告は盛んに出稿されています。つまり、広告を出すことで新規顧客を獲得している事務所が多く、弁護士事務所の広告は激戦となりつつあります。
しかし、弁護士事務所の広告を出稿する際には、その道のプロに相談することが大切です。
なぜなら、弁護士事務所の広告には禁止されている表現や制限事項が多く、それらを考慮する必要があるからです。
この記事を読むことで、法律事務所の広告を出稿する際に気をつけたいポイントや、専門家に相談することの重要性について知ることができます。
目次
弁護士事務所の広告出稿|気をつけるべきポイントは?
弁護士広告の自由化が解禁されてから数十年が経ち、TVCMでも弁護士事務所の広告をみる機会が増えました。
しかし、弁護士事務所の広告には多くの規制がありますので、ここでは弁護士事務所の広告について気をつけるべきポイントや規定などをご紹介します。
日本弁護士連合会の弁護士等の業務広告に関する規程を確認する
日本弁護士連合会・通称「日弁連」による「弁護士等の広告業務に関する規定」を確認しておきましょう。
こちらに掲載されている各種規定を守らない限り、弁護士広告としては何かしらの違反があるものということになります。
具体的な禁止規定については以下のPDFファイルで確認することができます。
→https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/jfba_info/rules/kaiki/kaiki_no_44r.pdf
とはいえこのPDFは非常に長く、また弁護士の業務のかたわらでこういった広告出稿に関する規定・規約を確認するのはまた、骨の折れる話でもあります。
さらにパラリーガルの方や、事務員の方がこういった文言を確認するとなると・・・日常の業務を圧迫することに繋がります。
例えば、上図のような広告訴求は規定違反となります。
なおここで記事をご覧いただければお分かりの通り、こと弁護士に関しては広告業務に関する規定が他の専門職や士業先生のものと比較して格段に多く、弁護士の広告出稿は非常に難しいことがわかります。
これはもともと、弁護士による広告の出稿や集客といった部分が旧規定によってそもそも禁止・制限されていたことの名残と考えてよいでしょう。
各会の規定も遵守する
まず、弁護士事務所の広告規制については、全国的な規範である日本弁護士連合会(日弁連)の規定を確認しましょう。
これに加えて、所属する弁護士会によっては、さらに細かい規定が設けられているケースもあります。
例えば、東京弁護士会では「弁護士情報提供ウェブサイトへの掲載に関する指針」を定めており、広告を出す弁護士がこの指針に基づいて行動することが求められています。
そのため、広告を出稿する前には、日弁連の規定だけでなく自身が所属する弁護士会の規則についてもかなり念入りに確認しておくことが必要です。
弁護士事務所で禁止されている広告まとめ
出稿する広告の内容については、誤った情報を掲載したり事実と異なる情報を提供することはもちろん、一部の規定に違反する言葉を使うことも禁じられています。
以下に具体的な禁止表現をいくつか列挙してみます。
禁止されている広告1:事実に合致していない広告
事実に合致していない広告の出稿は禁止となります。
この辺りは何を持って事実に合致していないとするのか、解釈の分かれるところでもあります。
ただし例えば、現在は異なる運用や費用感を持って運用しているものの、広告出稿の中に一部現在の運用と異なる費用が掲載されていた場合や、弁護士が直接対応するわけでもないのに「24時間365日弁護士が対応する」(※実際に24時間365日対応しているのは事務所内外に設置しているコールセンターなど)といったキーワードが入っていると、事実に合致していない広告として最悪の場合、懲戒請求を受ける可能性もあります。
禁止されている広告2:誤認のおそれのある広告
誤認の恐れのある広告も禁止されます。
こちらはもちろん解釈が非常に難しい問題ではあるものの、広告畑での実務上、原則として例えば有名人の顧問弁護士を行っている事務所であるだとか、弁護士ブログで「有名人が法律相談で事務所に来所されました!」などといった表現は守秘義務違反にも繋がるため、まず避けておいてしかるべきでしょう。
禁止されている広告3:誇大・過度な期待を抱かせる広告
誇大広告はもちろんのこと、過度な期待を抱かせるようなタイプの広告出稿も禁止されています。
例えば債務整理案件において借金の返済がストップすることにより人生が全てうまくいく!といった表現は禁止されるということです。
例えば、このような広告があるとします(下図)。しかし、規定に反する可能性が高いため、避けるべきでしょう。
この辺りは程度問題もあるため、詳しくは法律のプロではなく、広告のプロが取り扱うべき問題と言えます。
弁護士事務所で広告を出す際は、一度、広告のプロにご相談されることをおすすめします。
禁止されている広告4:過度な不安をあおる広告
弁護士と言えば、リーガルサービスの提供によって顧客の悩みを解消したり、顧客の安心・安全な暮らしを守るといった側面があります。
しかし、「広告人」が弁護士の広告を打とうとすると顧客の不安を駆り立てるような訴求導線を使おうと提案するケースもあるでしょう。
特に債務整理案件など「放置していると自己破産やむなしといった状況になることがある」など、不安を煽りたくなるケースもあります。
こちらに関しても、過度な不安をあおる広告が禁止されているため、むやみに広告を出稿していた結果、懲戒処分等の不利益を被る恐れもあります。
禁止されている広告5:特定の弁護士と比較した広告
特定の弁護士と比較するような広告は厳禁となります。
例えば当事務所であればどういった事件の取扱いが出来て、他方、〇〇弁護士会所属の〇〇弁護士は~といった表現手法は全面的にアウトだと思ってください。
禁止されている広告6:訴訟の勝訴率を出した広告
弁護士先生となればいわゆる訴訟で「どのくらいの確率で勝訴しているか」といった部分は非常に強みとなることから、勝訴率を掲示したくなることはよく理解できます。
しかしこちらも規定によって、事件の勝訴率を表示することができません。
【番外編】SNSの利用も広告になるので注意
SNSの利用も十分にご注意ください。
最近はYouTubeや各種動画ポータルサイト等で弁護士の先生が動画を配信しているケースがあるなど「なんだ、弁護士でも広告はOKなのか」と思われるケースもあるでしょう。
しかし、こういった先生方が行っているのはあくまでも動画配信や情報発信のみであり、弁護士事務所そのもの、または弁護士業務に関わることの広告を行っているわけではないことが分かります。
弁護士事務所の広告で記載すべき事項は?
広告を出稿するにあたり、記載すべき事項とは何でしょうか?
それは「氏名・名称」および「所属弁護士会」です。この二つを忘れてしまうと、広告が出稿できない可能性があります。
何をどのように記載すればよいのか、詳しく見ていきましょう。
氏名・名称
広告には、弁護士の場合は「氏名」、弁護士法人の場合は「法人の名称」を必ず記載する必要があります。
また、弁護士法人の場合は、「主たる法律事務所の名称または広告に係る従たる法律事務所の名称」も記載が必要です。
この点は非常に重要で、記載が不足していると広告が出稿できない、なんて事態も起こり得ます。確認作業は丁寧に、そして何度も行いましょう。
所属弁護士会
弁護士も弁護士法人も、所属弁護士会を記載する必要があります。具体的には、どの弁護士会に所属しているのか明記することが求められています。
特に弁護士法人の場合、事務所が都道府県をまたぎ、複数の弁護士会に所属している可能性があるため、注意が必要です。
その場合は、①主たる法律事務所か②広告に係る従たる事務所の所属弁護士会のいずれかを記載することになります。
弁護士事務所の広告出稿を成功させるためのコツ
広告出稿を成功させるためには、以下の3つを押さえておきましょう。
- 事務所の強みを明確にする
- Googleビジネスプロフィールの最適化
- 競合調査を行い、広告出稿先を選定する
それぞれについて、詳しく解説していきます。
事務所の強みを明確にする
弁護士事務所は、その近辺の顧客に対してリーガルサービスを提供しているケースが多いでしょう。
しかし、中には全国の顧客に対してリーガルサービスを提供する事務所も存在します。
他の事務所と比べたときに、自分の事務所のサービス内容・強みはどのようなものか明確にした上で、ホームページの制作や広告出稿を行うことが大切です。
Googleビジネスプロフィールの最適化
Googleビジネスプロフィールは、地元の検索結果に事務所の情報を表示させるのに有効なツールです。
検索結果に地図や写真、営業時間などの具体的な情報を掲載できるため、視覚的に印象付けることができます。
より多くの顧客に自身の事務所を知ってもらうためにも、Googleビジネスプロフィールの最適化を進めていきましょう。
競合調査を行い広告出稿先を選定する
弁護士事務所の広告は非常に多く、その中で自身の広告を際立たせるのは容易なことではありません。
そこで大切となるのが、競合調査です。
競合他社がどのような広告を出稿しているのか、どの広告が効果的であるのかを把握し、それを参考に自身の広告出稿先を選定しましょう。
このような広告戦略が、成功する広告出稿には欠かせません。
法律事務所の広告出稿に関するよくある質問
法律事務所の広告出稿について疑問を持つ方も少なくないでしょう。
ここからは、よくある質問とその解答を紹介します。
実際に自分で広告を作成し、出稿する際の手続きや適切な内容について、また広告作成をプロに依頼するメリットについて様々な角度から解説していきます。
Q.法律事務所の広告は自力で作ることはできますか?
A.はい、法律事務所の広告を自力で作成して出稿することは可能です。
しかし、弁護士業界には広告に関する独特の規制やルールが存在します
日本弁護士連合会(日弁連)の規定に基づき、広告内容に誤りがないかどうかを確認して、違反しないようにしなければなりません。
また、出稿先によってはそれぞれ独自のルールがあるため、それに対する理解も必要になるでしょう。
結論、自力で作成するよりもプロに依頼するのをおすすめします。
Q.弁護士事務所の広告制作をプロに頼むメリットはなんですか?
A.弁護士事務所の広告制作をプロに依頼するメリットは大きく分けて2つあります。
まず一つ目は、各種規定を遵守しつつ、新規顧客開拓に適したクリエイティブ(広告)を制作してもらえる点です。
専門知識を持つプロならではの広告戦略で、事務所の特徴を鮮明に伝えつつ規定違反にならないようなバランスを保つことができます。
二つ目は、広告出稿先のルールを遵守したクリエイティブを作成できるという点です。
各プラットフォームにはそれぞれのルールがあり、それに違反すると広告が掲載できなくなる、広告が削除されるなどの措置が取られます。
プロであれば、豊富な知識をもとにルールを遵守した広告を作成してくれるので、安心して任せられるでしょう。
Q.会則に違反した広告を出すと罰則はありますか?
A.はい、弁護士事務所の広告が規定に違反していた場合、罰則が科される可能性があります。
具体的な罰則の内容は規定によりますが、広告に規定違反の内容が含まれていると判断されると、その広告の掲載停止命令が下されます。
さらに、最悪の場合には、弁護士資格の停止や剥奪などの重大な結果を招く場合がありますので注意しましょう。
Q.弁護士事務所はSNS広告にも出稿できますか?
A.はい、YouTubeやFacebookなどのSNSにも広告を出稿することができます。
ただし、こちらも広告内容が日弁連の規定に従っているか、また各SNSの広告ポリシーに違反していないか、という点を確認する必要があります。
弁護士事務所の広告は他の産業に比べて競争が激しいため、適切な戦略を立てることが重要になってくるでしょう。
Q.弁護士事務所の広告運用はプロに頼むべきですか?
A.プロへの依頼がおすすめです。
広告運用は、事務所のマーケティングの一部として重要な役割を果たします。
しかし、適切な広告運用を行うためには、広告に関する知識と技術、またターゲットとなる顧客の理解など、様々な要素が絡み合ってくるのも事実です。
特に法律事務所のような専門的なサービスを提供する業界では、専門知識を活かした戦略が求められます。
これを事務所の職員のみで完璧にこなそうとすると、本来の業務に支障が出かねません。
プロに依頼すれば、規定をクリアしたうえでより効果的な広告運用が可能となります。
このとき、広告代理店ではなく、伴走型インハウス支援が可能な会社へ相談するのがおすすめです。「伴走型インハウス支援」ならば、あなたのチームの一員として寄り添いながら一緒に広告運用を行うことができます。
まとめ
このように弁護士業は広告に関連して様々な問題や制約があるため、広告代理店等を入れるのではなく所内で広告運用をワンストップで行えるようにする(インハウス化する)のが必要不可欠なことといって差し支えはないでしょう。
当社では弁護士事務所の広告出稿及び依頼人の増加に関連して、実務上の様々な知見やノウハウをご提供可能となっております。
また分かりやすい(と評判の)助言・指導で、所内のご担当者の方のご成長も一緒に見守らせていただきます。
弊社では伴走型のインハウス支援により、 「広告担当者の育成」を承っております。
・広告運用の品質はプロ水準
・実際に運用するのは貴社(貴院)広告担当者
・広告代理店への外注・委託と異なり、ノウハウやテクニックは自社(自院)に残る
といった特長があります。
さらに弊社は「薬事法管理者在籍のインターネット広告代理店」です。
よって薬機法・医療広告ガイドライン等の各種関連法規についても対応が可能となっており、さらに
・YMAA(薬機法、医療広告ガイドラインの知識を習得した広告取扱担当者)
・KTAA(景品表示法・特定商取引法の知識を習得した広告取扱者)
も取得しておりますので、高い水準での広告運用をご提供可能です。
どんな些細なご質問でも構いません!
まずはお気軽にお問い合わせください。